2023年05月16日 08:30 #女性活躍推進
ロールモデルとは、一般的に「模範になる人物」のことを指します。企業内であれば、後輩から憧れられるような仕事ができる先輩社員、将来目指したいと思われるような上司のことです。また、有名人や過去の偉人をロールモデルにする人もいます。
社内にお手本にしたいロールモデルが存在すると、社員の成長意欲が刺激され、仕事にやりがいを感じられる傾向があります。ロールモデルの存在は自律的なキャリア形成にも有効なため、近年は企業がロールモデルを人材育成や女性活躍のために活用するケースがあります。
この記事では、ロールモデルの意味をはじめ、働く女性のロールモデルの例や見つけ方を紹介します。
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ロールモデルとは、その人の言動や考え方が他の人の模範となる人物のことです。人はロールモデルの言動や考え方を真似ることで効果的に成長することができます。
人がある対象を観察し真似るだけで学習できることは科学的にも実証されており、カナダの心理学者アルバート・バンデューラ氏の「社会的学習理論(モデリング理論)」によっても広く知られています。
ロールモデルを個人で持っている人もいれば、企業が求める人材像に近い社員をロールモデルとして設定し、社内で共有するケースもあります。
近年、ロールモデルが脚光を浴びている背景には、日本における女性の出産後の離職の多さや昨今の女性活躍推進の流れがあります。
2022年9月に国立社会保障・人口問題研究所が公表した調査では、第1子出産前後の結婚している女性の就業継続率は2015年~2019年では69.5%と、2010年~2014年の50%台から70%近くへ上昇しました(第16回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)|国立社会保障・人口問題研究所)。
この結果からは、仕事と子育てを両立しようとする意欲の高さがうかがえますが、それでも3割近くの女性が退職しています。一方で育児をしながら働きたいという考えを持つ女性は増えており、仕事と家庭を両立して働き続けているロールモデルの存在が求められています。
企業が女性活躍を推進していることもロールモデルが注目されている理由です。昨今、女性が働きやすい職場づくりが進んでいるものの、日本企業では男性と比べて女性管理職の数や女性活躍の場がまだ少ないのが現状です。
女性が社内で長期的なキャリアを描けるように、女性管理職を身近なロールモデルとして設定しようという動きがあります。
関連記事:女性管理職が少ない理由とは?企業の増やす取り組みとメリットを解説
働く女性にとってロールモデルにふさわしい人物は以下のように選ばれています。
自分が直接知っている社内の先輩や管理職、両親、友人などから選ぶ方法です。自分に対してよい影響を与えたかどうかという視点で選びます。営業先の担当者など社外の人物をロールモデルにすることもあります。社内の人物に比べて先入観が薄いため客観的に捉えることができます。
直接は知らない有名人や過去の偉人をロールモデルに設定する方法もあります。女性活躍が遅れている日本では、社内にロールモデルとして適切な女性社員がいないケースは少なくありません。そのような場合は著名人の中から憧れている人を選んでロールモデルに設定します。
例えば、株式会社オープンアップグループが2023年に実施した「女性と仕事に関する実態調査」によると「働く女性がロールモデルにしたい憧れの女性芸能人ランキング」では、1位に天海祐希さん、 2位は北川景子さん、3位はローラさんが選ばれました(<女性と仕事に関する実態調査> 働く女性がロールモデルにしたい憧れの女性芸能人 ランキング第1位は「天海祐希」さん!第2位は「北川景子」さん)。
この調査では自分らしく仕事とプライベートを両立している芸能人がランクインしています。社外のロールモデルは、このようにその人物の業績に対して尊敬の念を抱くことができ、かつ自分が憧れるような生き方をしている人物が該当するでしょう。
ロールモデルは必ずしも一人に定める必要はありません。様々な分野で目標にしたい人を見つけてロールモデルに設定することもできます。
業務は複雑なため、すべての分野で高い能力を発揮する人は少なく、誰しも得意と不得意があります。例えば、営業で新規顧客の開拓であればAさんを見本とし、既存顧客のアップセルであればBさんを見本とするといったように、その人の経験や得意分野に絞ってロールモデルを設定することも可能です。
企業がロールモデルを設定する手順と個人がロールモデルを設定する手順を、それぞれ解説します。企業が設定する場合でも個人で設定する場合でも①②の手順はほぼ同じですが、③のみ異なります。
①ロールモデルにふさわしい人物を選定
まず、ロールモデルにふさわしい人物を選びます。企業として目指してほしい人物像によく似ている社員を選定します。候補に選定された人物に研修への参加や人事異動、個別カウンセリングを実施し、計画的にロールモデルとなり得る人材を育成していきます。
②ロールモデルの言動や思考を分析
ロールモデルとなる人物の言動や思考を分析して、誰もが参考にできるようにパターン化します。これはロールモデルを活用した人材育成には不可欠のプロセスです。
③ロールモデルの存在を周知
社員に向けてロールモデルになった人材の活躍を周知します。社内報や社外メディア掲載、社内の女性交流会への参加などの方法があります。社員が自然にロールモデルの存在を知り、憧れを抱き、言動や考え方を参考にして成長に役立てるようになることが理想的です。
①ロールモデルにふさわしい人物を選定
自分が尊敬の念を抱き、憧れを持つ人物をロールモデルに選びます。
②ロールモデルの言動や思考を分析
次にロールモデルとして選定した人物の行動や思考を観察、分析して一定のパターンを把握します。
③ロールモデルを真似る
実際にロールモデルを真似てみます。ロールモデルの思考パターンを理解していれば「この場面においてロールモデルはどのように行動するか?」と考えて、同じような振る舞いをできるようにします。
企業内にロールモデルを設定することで、下記のような効果を期待できるでしょう。
社内の身近な人物をロールモデルに設定すると、言動や考え方を理解しやすく、置かれている環境も近いため、社員のキャリアの道筋を描きやすくなります。社員が自分の将来像をロールモデルのキャリアに重ねることで、社内でのステップアップを考えられるようになります。
女性社員の場合、出産や育児があるため、持続的なキャリアプランを描きにくい傾向にあります。先輩の女性社員がどのように仕事と家庭を両立しているのか、ロールモデルとして提示されていると、出産や育児の期間を含めたキャリアをイメージしやすくなるでしょう。
ロールモデルとなっている人を目指したい、自分も同じようになりたいという社員の思いが、実際の成長につながります。ロールモデルを意識すれば、目的地までの道しるべとなり、社員の成長スピードを加速することができます。
社員がロールモデルにした人物と自分自身を比較することで、自分のよい面や、足りない部分を理解できるようになります。自分を客観的に見つめることで、今取り組むべきことが明確化し、また、ロールモデルが今の自分と同じ立場であれば何をするかという観点で考えることが、仕事のいろいろな局面での行動指針になるでしょう。
ロールモデルを社内の人物に求めた場合、社員は積極的にやり取りをして相手のよいところを学ぼうする過程で、コミュニケーションが活発となります。コミュニケーションを通じて社員間の信頼関係が強まります。
ロールモデルを軸に学び合うプロセスが社内でいくつも発生することで、コミュニケーションの活性化、ひいては組織全体の活性化につながるでしょう。
人はロールモデルを持つことで、理想とする自分に近づくことができます。憧れる人物をロールモデルとして決めることでキャリアアップの道しるべができ、自分自身の成長を促進する効果も得られます。
企業が社内にロールモデルを育成すると、人材の成長だけでなく企業全体の活性化にもつながります。特に女性社員で仕事と家庭の両立を成功させている人物をロールモデルに設定すれば、多くの女性が活躍できる環境づくりへつながるでしょう。
ロールモデルの活用は社員のキャリア形成の重要ポイントであり、制度の立案に際しては専門人材の活用も選択肢に入れると有効です。
「パソナのProShareサービス」は専門人材の活用を提供しています。また、「パソナの女性活躍支援サービス」では女性活躍推進に必要なソリューションをワンパッケージで提供しています。女性活躍のための社内環境づくりが社内リソースだけで不十分な場合は、ぜひ専門支援サービスをご検討ください。
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