セカンドキャリアとは?企業の支援制度や年代別のサポートポイントを解説

2022年11月08日 08:00 #セカンドキャリア支援

人生100年時代に突入した昨今、従来よりも長期的なキャリア設計を考える必要性が高まっています。そのなかで自身のキャリアアップや安定した就労のために「セカンドキャリア」を考える人が増えており、企業には従業員のセカンドキャリアに対する支援が求められています。

 

この記事では、企業のセカンドキャリア支援制度や年代別のサポートポイント、セカンドキャリアの見つけ方について解説します。

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■セカンドキャリアとは

■企業のセカンドキャリア支援制度とは

■企業のセカンドキャリア支援をサポートする制度・サービス

■【年代別】セカンドキャリアを考える理由

■セカンドキャリアの見つけ方

■まとめ

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■セカンドキャリアとは

セカンドキャリアとは「第二の人生における職業」のことで、もともとは野球選手の引退時のキャリアチェンジや結婚出産で退職した女性の職場復帰、定年退職後の再就職などを示す言葉として使われていました。しかし近年は、主に40〜50代でキャリアアップや転身のために転職、早期退職を考える人が増えており、そうしたキャリアチェンジも「セカンドキャリア」として定義されています。

 

セカンドキャリアが広がった背景には、人生100年時代に突入したことや終身雇用制度を廃止する企業が増えたことなどにより、人生における長期的なキャリア設計の必要性が高まっていることが挙げられます。また、VUCA時代とも呼ばれる将来が予測しにくい状況の中で、キャリアチェンジを柔軟に考えたり、社会情勢に左右されにくい職業を探したりする傾向が高まっています。

 

これまでに培ってきた知識と経験を活かしつつ、新たなキャリアで人生をこれまで以上に充実させるための手段として、セカンドキャリアが注目されているのです。

 

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■企業のセカンドキャリア支援制度とは

早期退職後や定年後における従業員の不安を解消し、退職後も生き生きと働いてもらうためには、企業のセカンドキャリア支援が欠かせません。

 

セカンドキャリア支援制度とは、従業員が退職した後のセカンドキャリアを企業がサポートする仕組みのことです。企業がおこなうセカンドキャリア支援には以下のような内容が挙げられます。

 

1 学びや開業のための経済的支援

講座の受講費や資格取得費用、事務所の開設費などを支援する

 

2 キャリア設計教育研修などによる情報支援

セカンドキャリアの構築に必要な知識やプロセスなどの情報を提供する

 

3 退職準備休暇や短時間勤務による時間的支援

転職や開業に向けた準備期間を提供する

 

4 人材エージェント会社との連携などによる転職支援

転職希望者には従業員の経験や能力に合った再就職先を提案する

 

従業員のセカンドキャリア形成には、どれか一つではなく可能な限り多方面からの支援を実現することが重要です。企業が長年貢献してくれた従業員のセカンドキャリアを支援することで、従業員エンゲージメントの向上にもつながっていくでしょう。

 

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■企業のセカンドキャリア支援をサポートする制度・サービス

 

従業員のセカンドキャリア支援には、以下のような社外のサービス・助成金を積極的に活用することで手厚いサポートを実現できます。

 

●キャリア形成サポートセンター

 

厚生労働省委託事業の「キャリア形成サポートセンター」では、個人向け・企業向けにさまざまなキャリア形成支援を無料で提供しています。キャリアコンサルティング面談と多様なキャリア研修を組み合わせ、従業員の主体的なキャリア形成を促進する「セルフ・キャリアドッグ」の導入支援や、ジョブ・カードを活用したキャリアコンサルティングなどが主な内容です。

 

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●各種助成金制度

 

政府は労働者のキャリア形成支援に対し助成金を設けています。

具体的には、一定の条件を満たした場合に労働者の訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成する「人材開発支援助成金」や、厚生労働大臣指定の教育訓練終了後に受講費用の一部が支給される「教育訓練給付制度」などがあります。

 

●企業によるセカンドキャリア支援

 

セカンドキャリア支援をサービスとして提供している企業もあります。

個人の希望や興味にあった講座を選べたり、効果の高いカウンセリングを受けられたりとさまざまなメリットがあるため、費用や内容を検討して選ぶとよいでしょう。

 

 

■【年代別】セカンドキャリアを考える理由

 

セカンドキャリアを考える理由は年代によって異なります。

ここでは年代別に、セカンドキャリアを考える理由と企業のサポートポイントをご紹介します。

 

●40代

 

40代になるとさらに仕事の経験が豊かになり、ファーストキャリアにおける目標が達成されることも多いでしょう。子育てや介護の経験からワークライフバランスを見つめ直したり、早期退職の対象となったりすることで、長期的なキャリアを意識する機会が増えてきます。

 

しかし、30代よりも転職が難しくなる年代のため、自分が持つスキルや経験を客観的に把握してもらうことが重要となります。これまでの経験を踏まえ、今後どのような人生やキャリアを築いていきたいか考えてもらうためのサポートが必要となるでしょう。

 

●50代

 

子育てが一段落したことや定年が近づいたことで、セカンドキャリアを意識する50代。求人数が少なく50代での転職や収入アップは難しいことから、これまでの経験や人脈を活かして独立を考える人も多い年代です。

 

現状の仕事を継続する、転職や独立をするなど、どのような選択をしたとしても重要なことは過去の経験ばかりにとらわれない「順応性」です。これまでに身につけたコミュニケーション能力や判断力を活かしながら、情報やスキルを常に更新し、新たな環境に適応していけるようなサポートが求められるでしょう。

 

●60代以降

 

終身雇用が当たり前の時代であれば退職時期にあたる60代ですが、少子高齢化による人手不足もあり、まだまだ労働力として求められる世代です。2021年には70歳までの就業機会確保を企業の努力義務と定めた「高年齢者雇用安定法」が施行されたこともあり、60代からのセカンドキャリア支援に注目が集まっています。

 

企業としては、60代以降は年収が減少する傾向にあること、ほかの年代と比べ体力や体調への配慮が必要なことを踏まえ、シニア世代の従業員が無理なく長く働き続けられるようなサポートを考えるとよいでしょう。

 

 

■セカンドキャリアの見つけ方

 

従業員が理想とするキャリアを積むためには、個々の希望や強みを整理し、必要な情報を集めていく必要があります。企業による支援をおこなう際には、上述の年代別の支援ポイントを踏まえ、従業員にあった適切な方法を組み合わせてサポートすることが重要です。

 

ここでは、従業員がセカンドキャリアを見つけるための方法をご紹介します。

 

●人生設計・キャリア設計を考える

 

セカンドキャリアを見つける前に重要なのは、長期的な人生設計やキャリア設計を考えることです。何歳まで、どの業界で、どのような仕事を、どう働いていきたいのか、収入や待遇などとあわせて従業員自身が具体的に考えるように促していくことが大切です。

 

●自分のスキルや強みを知る

 

従業員のこれまでのキャリアを棚卸し、自分が持つスキルや他社に採用されるうえで強みとなるポイントを理解してもらいます。これまでに培ってきたスキルをあらためて知ることで、これからどのような道に進むべきなのか、新たに身につけるべきスキルは何かについて考えられるでしょう。

 

●職業や業界についてリサーチする

 

従業員自身が興味のある職業や業界についてリサーチしてもらうことも重要です。今求められている人材や必要な資格がわかるため、従業員が持つスキルや強みと興味のある職業が合致するかどうかを把握できます。合致しない場合は自身のスキルを活かせる職業がないか視点を変えてもらうことで、違う職業や業界で活躍する姿が見えてくるでしょう。

 

●資格や知識を学ぶ

 

リサーチにより必要な資格や求められる知識がわかったら、キャリアチェンジに備えて早めに勉強に取り組めるようなサポートが必要です。書籍やインターネットを利用した勉強だけでなく、セミナーや講座に参加し人脈を広げる選択肢を提示するのもよいでしょう。

 

●キャリアアドバイザーに相談する

 

従業員が自分のキャリアについて客観的な立場からの意見やアドバイスを希望する場合は、キャリアアドバイザーによるキャリア相談を実施しましょう。目指すべき自分のキャリアが明確になったり、キャリア形成のための自己啓発のきっかけとなったりと、第三者の視点からサポートを受けることでより自分らしい次のキャリアに近づけます。

 

 

■まとめ

 

人生100年時代に突入した現代において、セカンドキャリアは豊かな人生を歩むための重要なテーマとなっています。従業員一人ひとりに合った効果の高いセカンドキャリア支援をおこなうためには、企業がサービスとして提供しているセカンドキャリア支援を利用するのがおすすめです。

 

パソナでは40〜60代の従業員のセカンドキャリア支援を実践したい企業向けに「セカンドキャリア獲得を学ぶマスターズカレッジ」を開催しています。自身を見つめ直す機会を持ち自走するセカンドキャリアを描くためのオープンカレッジで、参加した従業員は社外の人とともにキャリアの実現に向けた具体的な手法を学べます。

 

自社のセカンドキャリア支援にお悩みの人事担当者の方は、社外の支援サービスを取り入れてみてはいかがでしょうか。

 

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