【パーパス経営】ダイバーシティ・女性活躍を推進するパソナの事例紹介

東京から兵庫県の淡路島へ、2020年から本社機能の一部を段階的に移転しているパソナグループ。社会における存在意義「パーパス」を基軸に、ダイバーシティや女性活躍推進の取り組みがますます活発化しています。

そこで、今回はパソナが実施する「ひとり親 働く支援プロジェクト」に参加した社員の声を実例として紹介します。誰もが自由にライフプランを描く社会の実現へ、パソナ創業時から進化し続けるパーパスの真髄が、社員を通してあらためてみえてきました。

 

参考記事

パーパス経営を解説!パソナも実践する企業経営が注目される理由とは?

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

■創業時からのパーパス経営

■【ひとり親 働く支援プロジェクト】社員インタビュー

■パソナの示す「パーパス経営」

■まとめ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

■創業時からのパーパス経営

 

パソナの企業活動は「もう一度働きたい」と考える女性への支援から始まりました。1976年のパソナ設立当時は、女性が結婚を機に会社を退職することは一般的で、既婚女性が仕事を持つこと、子育てをしながら働き続けることは難しい社会だったのです。

 

そのような時代から、パソナでは「働きたい」と考える女性を積極的に支援してきました。事業領域の拡大とともにグループ会社・社員数が増えるなかで、パソナグループの存在意義や信念、行動規範のさらなる浸透を図る専門部署も設置。誰もが自由にライププランを描ける社会の実現へ、創業時から現在に至るまでパーパス経営を実践し続けているといえます。

 

また、近年重視され始めたダイバーシティや女性活躍推進には際限なく、本当に必要な支援とは何なのか、社員の声に耳を傾けてきました。その結果、パソナグループには女性向けに誕生した制度に加え、子育てを共にするパパ向けの講座や介護などのサポート制度も充実しています。

 

参照:

創業からのパーパス経営、淡路島で貫く パソナ・南部代表 - 産経ニュース

パソナグループのダイバーシティがどんどん進化するのは、なぜか? | JDIR

 

 

●「ひとり親 働く支援プロジェクト」とは?

パソナは、誰もが自由に好きな仕事を選択でき、働く機会が得られることを目指す取り組みの一つとして、2020年に「ひとり親 働く支援プロジェクト」を開始しました。

 

「ひとり親 働く支援プロジェクト」とは、日本における約142万世帯のひとり親家庭を対象とした「職業選択と就業機会の拡大と創出」を図る計画事業です。

「正社員として安定した仕事や収入がほしい」「子どものお迎えがあり残業できない」など、仕事と子育ての両立に悩み奮闘する主にシングルマザーの方々に向け、自然豊かな兵庫県淡路島での就業支援を行っています。

 

淡路島ではパソナが借り上げた社宅を提供し、フルタイムや短時間勤務など、社員それぞれの希望に沿った柔軟な働き方を選択できます。同時に子どもの託児所はもちろん、学習塾や英語、ピアノ、バレエなどの教室を無料で利用できる福利厚生サービスも充実させました。

 

就業の経験が少ない方や未経験の方でも、リスキリング(学び直し)プログラムにより、自身の能力を活かし高めながら、子どもと一緒に安心して暮らせる環境を提供しています。

 

 

■【ひとり親 働く支援プロジェクト】社員インタビュー

 

ここからは「ひとり親 働く支援プロジェクト」での採用を機に、親子で淡路島に移住した女性社員の声を紹介します。

 

●「来てよかった。自分の大好きな仕事ができている」 / 茶木めぐみさん(お子さん4歳)

1人目は、愛知県名古屋市より2022年4月1日に移住・入社し、禅リトリート施設『禅坊・靖寧(ぜんぼう・せいねい)』で働く茶木めぐみさんです。

 

 

『禅坊・靖寧』とは、淡路島の四季折々の景色が360度見渡せる大自然の中で「禅」をベースにした、やすらぎのヨガ体験ができる施設。茶木さんは『禅坊・靖寧』にて、オペレーション業務・ヨガと瞑想の講師・問い合わせ対応・予約管理などの施設業務全般に従事しています。

 

「淡路島に移住する前はヨガのインストラクターとしてフリーで働いていたのですが、個人事業主で不安定な部分もあり、ひとり親になるきっかけで、育児と両立できる仕事を探し始めました。」と語ってくれた茶木さん。

 

海洋学部の出身である茶木さんは、海が近いところで子育てをしたいと考え「離島 移住」で調べていたときに、パソナのプロジェクトを見つけたそうです。リゾート系など他の仕事も探していましたが、子育て環境を考えたなかではパソナの「ひとり親 働く支援プロジェクト」が自身に最適だったといいます。

 

「子どもが小さいこともあり、会社が子育てしやすい環境を整えてくれているところがとても魅力的でした。このプロジェクトに応募した当初はヨガインストラクターではなく、キャリアチェンジも視野に入っていましたが、ちょうど施設開設でいまのポジションを紹介され、縁を感じています。」

 

茶木さんは淡路島への移住にも、ほとんど不安を感じなかったそうです。

 

「チャレンジしたいという気持ちが強かったので、不安はありませんでした。“ひとり親あるある”かもしれませんが、いままで大変な思いをして子育てしてきた分、淡路島での暮らしには明るい未来しか想像できませんでしたね。笑」

 

4歳になるお子さんも新しい環境に順応していることで、安心して働けているようです。

 

 

「同じプロジェクトで入社した仲間がいることで情報のネットワークも広がり、生活に不便さを感じたことはありません。また、名古屋にいたときは保育園が好きではなかった子どもが、いまは保育園に楽しく通ってくれます。お迎えが早いと『なんで?』というリアクションもあったりして。笑」

 

まだ始まったばかりの淡路島での生活ですが、茶木さんのお話から楽しくイキイキと働く様子が伝わってきます。

 

「本当にここに来てよかったと思っています。自分の大好きなことを仕事にできていますし、周りの環境にも恵まれて、淡路島でのびのびと過ごす子どもの成長も楽しみです。これからは『禅坊・靖寧』をどんどん有名にして、予約が取れないぐらい人気のある施設にしていきたいですね。」

 

●「育児に費やしてきたパワーを自分のキャリアアップに使える」 / 瀧川幸子さん(お子さん 小学2年生)

続いて紹介するのは、パソナHRHUBマネジメント部の瀧川幸子さんです。瀧川さんも、2022年4月1日から淡路島に移住するとともにパソナに入社。2カ月の研修を経て、6月より淡路島のパソナサービスに関わる入社後の研修・配属を担当しています。

 

 

パソナ入社前はインテリア雑貨の会社などで、店長として新店舗の立ち上げや人材募集・採用・教育を一貫して経験されてきたそうです。

 

「現在のHRHUBマネジメント部へは、業務の適性や希望などから配属されました。人材会社ならではといえるのでしょうか。一人ひとりが適材適所に配属されている印象で、毎日楽しく働いています。パソナが掲げる『人を活かす』の理念通り、活かされていますね。笑」

 

徳島県の実家を生活の拠点にしていた瀧川さんがこのプロジェクトを知ったきっかけは、ネットニュースだったそうです。

 

「これまでは子育てをメインに仕事を選んできましたが、子どもが小学生になったタイミングで今後のキャリアを考えていたところ、ネットのニュースでプロジェクトを知りました。この制度なら自分のキャリアを積みながら子どもも楽しく過ごせそうだと思って、すぐに応募しました。」

 

 

移住前に大きな不安はなかったものの、小学2年生のお子さんが転校先の学校になじめるかが心配だったという瀧川さん。

 

「入社直後は子どもが春休みで、朝からキッズスペースで預かってもらっていたのですが、そこでたくさん友達ができていました。そのおかげで、安心して学校生活が始められましたね。また、このプロジェクトで転校生がコンスタントに入ってくるので、学校も子どもたちも対応に慣れていたというのがありがたかったです。」

 

大自然の中で子育てがしたいと常々考えていたそうですが、これまでは教育とのバランスで悩みもあったそうです。

 

「自然環境に重点を置くと、子どもの習い事の選択肢がどうしても制限されてしまって。子どもの教育や将来を考えたときに、進むべき方向を迷っていました。それが、今回のプロジェクトでは子どもの習い事が充実していて、お金の心配や送り迎えの負担もなく、これまでの悩みが一気に解消された思いでしたね。」

 

今後について、目の前の目標は、淡路島で働く社員やアルバイトの方々が継続して毎日楽しく働けるようにサポートすることだといいます。

 

「子育てしやすい環境になったことで、最近は自身のキャリアアップにも力を注げています。いまは地方創生について学んでいて、ゆくゆくは地元である徳島県の活性化にもつなげていきたいですね。毎日ワクワクしながら働いています。」

 

 

■パソナの示す「パーパス経営」

 

パーパス経営の成功は「社会貢献と利益の両立」が鍵を握ります。社会問題の解決によりすべてのステークホルダーの信頼を獲得し、企業価値を向上させる経営をいかに実践していくか、長期的な視点で利益に結びつくパーパスを検討しなければなりません。

 

パソナが実施する「ひとり親 働く支援プロジェクト」では、ひとり親を取り巻く課題に対し、キャリアと子育てを両立できる環境を提供しながら、事業としても成立させています。

 

これからの時代は、パーパスと実際の活動が伴わない「パーパス・ウォッシュ」の状態ではなく、企業が率先して社会問題の解決策を打ち出し、そのために必要なサービスや仕組みをつくり、真摯に実績を積み上げていくことが大切だといえるでしょう。

 

■まとめ

 

近年、取り組みが活発化しているダイバーシティや女性活躍推進。さまざまな企業がパーパスを基軸とした取り組みを進めています。

今回のパソナの社員インタビューは、「より良い社会を目指すパーパス経営は、働く人すべての幸福と企業成長に直結する」ということを示す、大きな事例といえるのではないでしょうか。

  • twitterに共有
  • facebookに共有
  • LINEに共有