アフターコロナビジネスの最前線                       〜米国駐在パソナ社員から、未来の人事戦略を聞く〜

 

世界中で猛威を振るった新型コロナウイルス感染症。中でもアメリカは感染者が3440万人超と世界最多を記録し、死者数は第1次・第2次世界大戦およびベトナム戦争の合計よりも多い61万人超という甚大な被害をもたらしました。

一方でワクチン接種の動きは速く、接種が完了した人は約49%、少なくとも1回接種した人は56%以上となっています。一時期はロックダウン政策により職場の全面的な閉鎖も行われていましたが、徐々に解除され、それに伴って経済活動も回復傾向が見られます。

 

日本では感染が再拡大し、1回目の接種を終えた人が40%に満たないなど先行きが不透明な状況が続いていますが、やがて訪れるアフターコロナに向けた備えを検討しておく必要はあるでしょう。

そこで、今後のビジネス展開を予測するための指針として、米国・サンノゼで人材コンサルタントとして活躍するパソナNAの秋山大哉に、アメリカ社会の現状や、人事領域における展望について聞きました。

 


Pasona NA Inc. 

Bussiness Development Executive

秋山大哉

 

2014年 株式会社パソナへ新卒入社。

その後、5年間派遣・BPO部門にて営業、マネジメントを経験。

社内の公募制度を利用し、2021年1月より

Pasona NA Inc.へBusiness development executiveとして出向中。

米国内でビジネスを展開する日系企業様に対し、HR分野からのサポートや業務改善提案を行う。


 

――米国における新型コロナウイルス感染症の影響は、現在どのような様子でしょうか?

 

秋山:ワクチン接種の進展を受けて、新型コロナウイルス感染症の影響を感じる機会は減少傾向にあると感じます。7月半ばの時点で人口の半数近くがワクチン接種を完了しており、新型コロナウイルス感染症による入院患者の約97%はワクチンを受けていない人だというデータもあります。

 

――市民の生活はどのように変化していますか?

秋山:ワクチンの普及で、飲食やスポーツ観戦、飛行機での移動などの制約がなくなり、市民も感染症を気にせず生活できるようになっていました。しかし、デルタ株拡大の影響を受け、7月下旬に疾病対策予防センター(Centers for Disease Control and Prevention:CDC)が「新型コロナウイルスの感染が拡大している地域については、ワクチン接種済みであっても屋内ではマスクを着けるべき」という助言を出しており、状況は刻々と変わっていると感じます。

 

――そうなると、経済も上向きそうですね。

秋山:今まで経済活動が制限されロックダウンも行われていたので、国民の貯蓄率は歴史的に見ても高い水準に到達していましたが、今後は個人消費の増加が進み、それに伴って経済も回復を見込めると思います。

 

――雇用にもポジティブな影響が現れそうです。

秋山:米国労働統計局(Bureau of Labor Statistics:BLS)によると、2021年5月の全米の失業率は5.8%でした。これは前月比で0.3%の低下、2020年同月比で7.5%の低下です。5.8%を下回っている州は27州となっています。また、2021年5月最終営業日の求人数は920万件、雇用者数は590万人でした。

 

――すると、強い買い手市場が訪れているということでしょうか?

秋山:一見買い手市場に思えますが、売り手市場です。これは各州などの補助金によって働かない・働きたくない人がいることが背景にあります。今後政策が変われば求職者数が増える可能性もありますが、企業側はサインボーナス・リテンションボーナス・キャッシュインセンティブなど、様々な採用インセンティブを試みて応募者を惹きつけようとする動きを既に見せています。

 

――労働市場の動きを受けて、働く人たちの意識も今後変わっていきそうですね。

秋山:プルデンシャル社による米国のフルタイム労働者2,000人を対象とした世論調査によると、パンデミック終息後に労働者の4分の1が新しい仕事を探す予定であると回答しています。この調査では、68%が「仕事の安定性」を重視しており、ついで「ワークライフバランス」が62%、「給与・報酬」が58%となっているそうです。

 

――働き方の変化はどうでしょうか? 感染症拡大以前も、米国はテレワークが進んでいたという印象がありますが。

秋山:コロナ禍によって、テレワークなど数年かけて導入していくはずだったことが数カ月で対応を迫られたというのは日本と変わらないと思いますが、米国はすでにその先へと踏み出しています。work from home(在宅勤務)を継続するかどうかが企業にとっての新たな悩みになっていますね。

 

――必ずしもテレワークはメリットばかりではない、ということでしょうか?

秋山:オンラインでもミーティングは可能ですが、隣の人との雑談がきっかけで仕事が進むというような経験は、在宅では難しいものです。in person(直接、面と向かって)の価値が改めて見直され、対面のコミュニケーションを大切にしようという動きが現れるようになってきました。週に何度かは出社すべきという方針を打ち出す企業もGAFAをはじめとして増えつつあります。

 

――テレワークの先進企業でも考え方が変わってきたということですね。

秋山:そうですね。こうした動きは、従来のwork life balanceからwork life integrationへの変化を感じさせます。仕事と生活を分けてバランスをとるのではなく、いかに生活に仕事を統合していくか、という考え方が、今後ますます重要になるものと考えられます。

 

――日本ではまだまだ先行きが不透明な状況が続きそうですが、今後の人事戦略のヒントとなる動きはありますか?

秋山:HRBPの考え方は、一つ参考になると思います。これはHR Business Partnerの略で、従来の採用や評価、管理といった人事の機能にとどまらず、会社経営を人と組織の面からサポートする立場として戦略人事を実行するという考え方です。日本では、カゴメ株式会社様が既に導入しています。戦略人事の重要性についてはこれまでも議論されてきましたが、コロナ禍によって課題が顕在化し、対応を迫られる企業は増えるものと考えられます。

 

――米国に進出する日本企業はどのような動きを見せていますか?

秋山:日本から米国に駐在していた方々の多くは、感染症流行を受けて一旦帰国されました。有能な方々ですから日本でも重責を担っていらっしゃることと思いますが、東京オリンピック・パラリンピック後に規制が緩和されるであろう9月末くらいのタイミングで、再び米国に戻ってこられるのではないかと予測しています。コロナ禍で中断していた米国進出のプロセスを再開する企業も出始めているようです。

 

――これからの米国進出において、検討すべきポイントはありますか?

秋山:アウトソーシングの積極的な活用をご検討いただきたいですね。米国に大規模な拠点を置く場合はHRマネージャーを配置できますが、駐在員事務所の場合は大手企業でも10〜15名程度で回さなければならないところも少なくありません。また、駐在員は2〜3年の任期で会社を運営しながら事業上のミッションも抱えており、自分たちで全てを担っていてはほどなく限界が訪れます。米国ではアウトソーシングがビジネススキームとして定着していますから、効率的に活用することで大きな成果につなげることができると考えられます。

 

 

米国の状況からもわかるとおり、海外におけるビジネス展開の成功は「コアビジネスへの集中」「人材の確保・育成」がカギを握っています。

パソナグループでは、日本国内における人事部の業務支援はもちろん、海外現地法人の設立支援や、海外事業を推進する人材の採用・育成など、幅広いサポートでビジネスを強力に後押しします。グローバルな戦略人事実践のパートナーとして、人事に関するあらゆるご相談を承っておりますので、ぜひ一度ご相談ください。 

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