2030年問題とは?労働力不足が招く企業の問題と人材活用の重要性

超高齢化社会の進行を危惧する2025年問題が目前に迫った今、新たに注目されているのが「2030年問題」です。2030年の社会ではどのような問題が顕在化し、企業に影響してくるのでしょうか。

 

この記事では、2030年問題とは何か、関連する2025年問題・2040年問題とともに解説し、労働力不足が招く問題点や企業が取り組むべき人材活用についてご紹介します。

 

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■2030年問題とは?

■2030年問題の「労働力不足」が招く企業の問題点

■労働力不足に備え企業が取り組むべき「人材活用」の重要性

■まとめ

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■2030年問題とは?

 

2030年問題とは、現在の日本が抱える少子高齢化・人口減少という現象がさらに進行することにより、2030年ごろに表面化が予想されるさまざまな社会問題を総称する言葉です。

 

さらに、少子高齢化と人口減少による問題は2030年の前後にも顕著に生じると想定され、主に「2025年問題」「2030年問題」「2040年問題」の3つの段階で語られます。各年において推計される高齢者の人口や生産年齢人口を下表にまとめました。

参照:総務省統計局『1.高齢者の人口』(統計トピックスNO.129より)/『人口推計 令和3年9月報』/『図表3-5-2-14我が国の人口の推移』(平成29年版 情報通信白書より)から作成

 

●団塊世代が75歳以上の後期高齢者になる「2025年問題」

2025年問題の大きなトピックは、第1次ベビーブームに誕生した団塊世代が75歳以上の後期高齢者になることです。日本の超高齢化社会が進行していく象徴ともいえます。

 

また、総人口と生産年齢人口が減少する一方で65歳以上の人口は増加し、その割合は総人口の30%にまで到達すると予測されています。ますます高齢化が進んでいくことで、医療・介護の負担増加、経済成長の鈍化、労働力の減少といった問題が懸念されます。

 

関連記事:2025年問題とは?間近に迫る超高齢化社会のために企業が取り組むべきことを解説

 

●生産年齢人口の不足が深刻化する「2030年問題」

超高齢化社会がさらに進んだ2030年には生産年齢人口の不足が深刻化し、さまざまな業界において人手不足が顕著となるでしょう。

 

また、生産年齢人口の減少は経済に負荷をかけ、人口減少は国内市場の縮小につながります。投資先としての魅力が下がり、イノベーションが生じにくい環境となるため、日本経済の成長力の低下が危惧されます。

 

さらに、2036年には65歳以上の人口が総人口の33.3%に達すると推計され、ついに3人に1人が高齢者となります(『令和2年版高齢社会白書』より)。社会保障給付費は高齢化に伴い急激に増加し、2040年に向けて医療・介護分野の給付はGDP(国内総生産)の伸びを大きく上回ると予測されています。経済の鈍化により収入は増えない一方で、社会保険料の負担は増えるという状況が続くでしょう。

 

●5人に1人が後期高齢者となり生産年齢人口が6千万人を下回る「2040年問題」

2040年には団塊ジュニア世代が高齢者となり、65歳以上が総人口に占める割合は35.3%、さらに75歳以上の後期高齢者は20%を超えると予測されています。社会保障給付費の中でも医療費の増加が著しく、2018年の39.2兆円から2040年には66.7兆円まで増える見込みです(『2040年を見据えた社会保障の将来見通し』より)。

 

また、生産年齢人口の減少はさらに加速し5,978万人となり、2025年と比較しても約1,200万人減となります。現状の少子高齢化・人口減少が今後も続いていくと、日本の経済は2040年代以降マイナス成長になるといわれています。

 

このように、2025年・2030年・2040年に想定される問題はすべてつながっているといえます。企業は差し迫った問題だけではなく、将来を見据えて広い視野で考え、なるべく早く対策を実行していくことが求められます。

 

■2030年問題の「労働力不足」が招く企業の問題点

 

2030年時点の少子高齢化・人口減少が企業にもたらす最も深刻な問題は「労働力不足」です。2030年問題の労働力不足が企業に及ぼす影響には以下が挙げられます。

 

●人材獲得競争の激化や人件費の高騰

 

生産年齢人口の減少は人手不足に直結し、企業の採用活動はますます激化していくでしょう。また、売り手(就職志望者)に優位な「売り手市場」が続くことで、人材確保のために人件費が高騰することも想定されます。労働力不足の中でも人材を獲得するためには、給与や福利厚生の充実、働きがいのある環境づくりをおこない、より魅力ある職場を実現することが不可欠です。

 

●既存事業の運営への支障

 

企業の労働力不足が続くと、現状の従業員数を前提とした業務のあり方は維持できなくなり、既存事業の運営に支障をきたすおそれがあります。業務効率化や生産性向上のための効果的な施策に取り組まなかった場合、一人当たりの業務負担が増大し、業務の進捗の遅れや質の低下、離職などが起こり得るでしょう。

 

●業績不振

 

企業の生産や営業を担う働き手が不足すると、需要があっても対応できないという事態が起こり得ます。商品・サービスの質が低下したり、必要なタイミングで顧客に届けることができなくなるなど、企業の業績不振につながるでしょう。業績が低迷すると人材の流出が起こり、さらに労働力が不足してしまう悪循環に陥るおそれがあります。

 

■労働力不足に備え企業が取り組むべき「人材活用」の重要性

 

2030年に決定的な労働力不足が訪れると予測されている以上、企業は労働力確保のための対策を早急に実施すべきでしょう。

 

労働力確保のカギとなるのは「人材活用」です。労働力不足という課題に対して企業が取り組むべき人材活用施策には以下が挙げられます。

 

●多様な働き方の実現で「潜在労働力人口」を働き手に

 

仕事を探しているがすぐには働けない、働く意欲はあっても仕事を探していないなど、何らかの理由で働いてはいないものの、潜在的に就業が可能な人のことを「潜在労働力人口」といいます。結婚や出産を機に一度退職し再就職が難しいと感じている女性や、働き口が少ない60代70代のシニア世代がこれにあたります。

 

関連記事:70歳で定年?企業がミドル・シニア世代へキャリア形成支援をおこなう意味とは

 

労働力不足の解消には、このような潜在労働力人口の活用が有効です。時間や場所にとらわれない多様な働き方を実現し、さまざまな人材が労働に参加できるよう就業の間口を広げていくことがポイントとなります。

 

また、超高齢化社会になると介護サービスの需要が急増する一方、介護サービスの担い手は不足します。サービスを受けられない高齢者が増えれば、労働者が家庭内で家族の介護を担う状況も増えることが考えられます。現在働いている従業員の離職を防ぎ長く働いてもらうためにも、介護と就業の両立を可能とする柔軟な働き方の実現が求められるでしょう。

 

●適材適所の人材配置で働きがいと生産性を向上

 

労働力不足が進むと現状の従業員数を前提とした業務を維持できなくなるため、生産性の向上が不可欠となります。生産性向上においてはAIやRPAを活用した自動化に期待する声も多く、管理部門や現場部門などさまざまな部門の日常業務に活用されています。

 

関連記事:日常業務で『AI』を活用して効率を高めている6事例

 

自動化・効率化ツールの利用に並行して重要なことは、貴重な働き手が仕事にやりがいを感じ、積極的に組織に貢献したいと思える状況をつくることです。

 

少ない人材資源を最大限に活用するためには、個人の能力や志向性を把握し、個々にマッチした適材適所の人材配置をおこなうことが大切です。従業員が自身のスキルを十分に発揮できる環境・風土であれば、働きがいと生産性の向上を同時に実現できるでしょう。

 

●リスキリングによる能力・スキルの再開発

 

企業の採用競争が激化し新たな人材の採用が難しくなる中、従業員に新たなスキルを習得させる「リスキリング」も人材活用において重要です。特にDX推進の面ではITスキルを持った人材が不足しているため、今いる従業員に対してIT関連の研修をおこない、DXの実現に向けて必要な専門性を持つ人材を育成することが求められています。

 

企業が従業員のリスキリングを後押しするには、一人ひとりのキャリアビジョンと向き合い、学びを支援していく姿勢が必要です。また、リスキリングを強制すると義務感で苦しめてしまうため、従業員の興味関心からスタートして自発的な学びを促すことも大切です。

 

一方で、企業がミドルシニア層向けにおこなうキャリア形成は、集合型研修や人事制度といった「点」の支援に留まっている現状があります。知識と経験が豊富なミドルシニア層には、これまで蓄積してきたキャリアのなかで何を活かし、新たに何を学ぶのか見極めなければなりません。必要に応じて、専門家のノウハウや支援を得るのも一つの方法でしょう。

 

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■まとめ

 

2030年には超高齢化社会がさらに進行し、生産年齢人口の減少が深刻化するために労働力不足の問題がますます顕著となるでしょう。労働者不足は採用競争の激化や業績不振など企業にマイナスの影響を及ぼすため、積極的な人材活用を中心に据えた対策を早いうちから実践していく必要があります。

 

少子高齢化による問題は2025年にも表面化すると考えられています。企業はなるべく早急に、かつ10年以上先の将来を見据えた人材活用施策として、多様な働き方の実現や適材適所の人材配置、リスキリングによるスキルの再開発などに取り組むべきでしょう。

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