超高齢化社会が及ぼす影響とは?2025年問題や企業が取り組むべきことを解説

2022年05月31日 08:30 #人事トレンド#生産性向上

日本は、世界史上類を見ないスピードで高齢化が進行しており、2025年には5人に1人が75歳以上になる超高齢化社会です。日本の社会構造が世界に例をみない状況に直面することによって、さまざまな問題が噴出することが懸念されている「2025年問題」。

企業は2025年問題が間近に迫っている今、何をどのように予測し、備えておくべきでしょうか?本記事では、2025年問題とは?、超高齢化社会が社会に及ぼす影響や、企業が取り組むべき対策について詳しく解説します。

 

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■2025年問題とは?

■超高齢化社会が企業に及ぼす影響

■超高齢化社会のために企業が取り組むべきこととは?

■2025年問題の対策ポイントとは?

■まとめ

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■2025年問題とは?

「2025年問題」とは、戦後の第1次ベビーブーム(1947~1949年)に誕生した団塊の世代が2025年頃までに75歳以上に達することで、国民の5人に1人が後期高齢者という超高齢化社会になり、経済や社会に大きな影響を与える問題のことです。

 

日本は少子高齢化が進み、2025年には3人に1人が65歳以上の高齢者になります。総人口は2008年以降減少の一途をたどっています。

2040年までは高齢者の数が増加し続けていくと予想されるため、今後は「高齢化のスピード」に「高齢者率の高さ」が加わります。

 

端的に言えば、若者は減少し、高齢者は激増。少ない若者で多くの高齢者を支える社会構造が加速するため、医療費や年金の財源の逼迫、社会を支える労働力の減少による経済力の低迷など、さまざまな影響が懸念されています。

 

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■超高齢化社会が企業に及ぼす影響

超高齢化社会の到来で社会構造のバランスが崩れると、企業には具体的にどのような影響があるでしょうか?

 

予測されている主な影響は以下のとおりです。

○企業業績の低迷

親世代の高齢化が進むと、介護などを理由とした離職者が増加し、人材が離脱・流出します。人手不足により既存社員の生産性も大きく低下し、ひいては競争力や企業力・企業業績にも大きな影響を及ぼす可能性が高くなります。

○事業承継問題

2021年の「全国社長年齢分析」によると、社長の平均年齢は60.1歳となっています。中小企業の場合、事業を引継ぐ後継者がいなければ廃業となることも多く、雇用も損失してしまいます。中小企業庁は2025年問題に対策を講じなければ、約650万人の社員が職を失うと予測しており、取引先などを含めた関係企業への影響も大きいでしょう。

○人材の採用競争が激化

生産性人口の減少で、あらゆる業種における人材の採用競争が激化すると考えられます。企業の活力や組織の新陳代謝にも影響するため、人材確保は企業が喫緊に取り組むべき課題です。

 

■超高齢化社会のために企業が取り組むべきこととは?

目の前に迫った超高齢化社会や2025年問題への対応は急務であり、企業がまず取り組むべきは「人材の確保と生産性の向上」です。具体的には以下になります。

○女性活躍推進

女性が働き手として社会へ参画することが重要です。出産・育児などのライフイベントを機に女性社員が会社を退職することなく、生き生きと活躍できる職場環境を整備したり、意欲と能力のある女性を管理職やリーダー層に登用するなど、男女の役割分担意識を払拭することが女性活躍推進のポイントです。

<関連記事>女性活躍推進で企業や社員はどう変わるのか?成功例と具体的な課題解決方法について解説

○シニア活躍推進

心身ともに健康で、就労を希望している高齢者が働き続けられる環境を構築し、能力を発揮し活躍してもらうことが大切です。シニア社員は働き続けることで生活の質の向上や、生きがいのある健康的で豊かな暮らしを実現でき、企業も豊富な知識・経験・ノウハウのある人材の確保が見込めます。シニア社員の活用は2025年問題解決の鍵を握っているといえるため、経営戦略の一つとして取り組むことが必要でしょう。

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○従業員満足度の向上

テレワークや時短勤務、ノー残業などを取り入れ、柔軟かつ多様な働き方を促進することが必要です。さまざまな立場の社員が能力を最大限に発揮し、仕事とプライベートを両立できるようワークライフバランスを見直すことで、従業員満足度やモチベーションが高まり、離職率低下、生産性向上につながると期待できます。

 

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○健康経営を推進

社員の健康づくりを支援し、健康経営を実現することは高齢化社会にとって必要な戦略です。健康問題で離職する社員を減らすとともに、医療費の削減、労働生産性の向上、企業業績の向上につながることが期待できます。

 

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○後継者の育成

中小企業の後継者不在問題には、後継者の育成が急務です。会社を引き継ぐ方法が難しい場合は、企業同士の合併(M&A方式)による第三者承継も視野に入れ、中小企業庁の「事業引継ぎ支援センター」など、支援制度を活用する方法もあります。

 

■2025年問題の対策ポイントとは?

2025年問題で企業がとくに押さえておきたい対策ポイントは、人材の育成・活用です。

社員一人ひとりに生涯現役で長く働き続けてもらうためには、早い段階から自律・主体的なキャリア形成に寄り添い、設計や実現を支援していくことが大切です。

 

そのためには組織内の環境整備はもちろん、能力やスキルを継続的に開発していく専門的なプログラムの導入が欠かせません。

 

例えば、ミドルシニア層の多様な生き方や、セカンドキャリアの展望・ノウハウなどを実例で学べたり、専門コンサルタントと面談し自身のライフプランに向き合ったりするトータルサービスプログラムを活用すれば、中年期以降のキャリアをより具体的に、前向きに考えられる社員が増えていくでしょう。

 

ミドルシニア層、女性を含めたすべての社員が生涯働き続けるために必要なキャリア形成の支援に、企業が力を入れることが大切です。

 

■まとめ

世界史上類を見ないスピードで超高齢化社会が迫っている日本。「2025年問題」はもう間近です。労働力の減少、業績の低下など、2025年問題が企業に及ぼす影響を正確に把握し、早期に必要な対策を講じることが急務です。

 

介護離脱者の増加、人材採用の激化による人的リソースの低減に対応するには、まずは経営戦略の一つとして、豊富な知識・経験・ノウハウを持つシニア社員を中心とした人材活用を進め、企業力を維持していくことが大切です。

 

そのためには、最適なトータルサービスプログラムを導入し、早い段階から社員一人ひとりの自律・主体的なキャリア形成に寄り添い、長期視点でのライフプランの設計や実現を支援していく必要があるでしょう。

 

 

 

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