ストレスチェックの義務化。従業員50人未満の事業所が対応すべきポイント

「働きやすい環境への改善」と「メンタルヘルス不調の未然防止」のため、従業員50人以上の事業所にストレスチェック制度が義務化されました。

健康経営の取り組みを進めるうえでも、仕事や職業生活への不安・悩みが増加傾向にある現代において、

従業員のメンタルヘルス不調の一次予防となるストレスチェックの活用が欠かせません。

 

この記事では、なぜストレスチェックが必要なのか、メンタルヘルス対策の重要性や取り組みのメリット、従業員50人未満の事業所が対応すべきポイントについて解説します。

 

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■ストレスチェックとは?

■なぜストレスチェックが必要なのか/メンタルヘルス対策の重要性

■義務化されたストレスチェックによるメリット

■従業員50人未満の事業所が対応すべきポイント

■まとめ

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■ストレスチェックとは?

ストレスチェックとは「労働安全衛生法」の一部改正により、2015年12月1日から従業員50人以上の事業所に対し、年に1回以上の実施が義務付けられている検査制度です。労働者自身のストレスへの気づきを促し、メンタルヘルス不調を未然に防ぐことを主な目的としています。

 

ストレスチェックでは57項目の質問票(チェックシート)により、従業員の心理的負担の程度や状況が判定されます。また、ストレスチェック制度には「人事に関して直接の権限を持つ者以外が従事する」という規定があり、その評価は医師や保健師、精神保健福祉士、外部の専門機関などがおこないます。

 

なお、従業員50人未満の事業所に関しては当分の間、ストレスチェックの実施は努力義務とされています。

 

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■なぜストレスチェックが必要なのか/メンタルヘルス対策の重要性

 

なぜ職場でのストレスチェックが必要なのでしょうか。

その背景には、経済情勢や産業構造の変化により働く人の約60%が強い不安やストレスを感じていること、またその心理的負担が原因となり休業や退職をする人が増加したことなどがあります。

 

出典:厚生労働省『職場における心の健康づくり』

 

 

また、強い不安がうつ病や精神障害などの疾病につながり労災認定されたこと、自殺に関する損害賠償請求の提訴が増加したことなども、ストレスチェックが義務化された要因に挙げられます。

 

2020年度の精神障害に関する労災支給決定件数が過去最多となり、企業におけるメンタルヘルス対策は急務となっている状況です。ストレスチェックが義務化された従業員50人以上の事業所だけでなく、50人未満の事業所においても、積極的に従業員の心の健康を保持するよう推進していくことが望ましいでしょう。

 

■義務化されたストレスチェックによるメリット

ストレスチェックの義務化が企業にもたらす主なメリットは以下のとおりです。

●従業員のメンタルヘルス不調の早期発見

定期的に従業員のメンタルヘルスチェックをおこなうことで、メンタル不調の未然防止や早期発見につながります。また、外部の専門サービスによる集団分析では、ストレス度が高い部署の把握や同業種との比較など、自社課題の可視化も実現できます。

●従業員のモチベーションや生産性の向上

事業者が心の健康を守るための対策に積極的に取り組むことは、従業員のモチベーションアップにつながり、職場に活気が生まれます。従業員の意識や企業の風土が変わることで、生産性の向上や業績アップにも期待が持てるでしょう。

 

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●職場改善による離職防止と採用活動への好影響

定期的なストレスチェックで従業員の悩みを把握し、働きやすい環境をつくるための職場改善につなげられます。職場環境の改善は従業員の離職防止対策となり、企業の採用活動にもよい影響を与えるでしょう。

 

 

メンタルヘルス対策で重要なことは、日ごろから従業員に過度なストレスを感じさせないことです。そのうえで、ストレスチェックを用いてストレスの程度を把握するだけでなく、外部の専門サービスなどを活用し、ストレス要因を分析・可視化・改善していくことが大切です。

■従業員50人未満の事業所が対応すべきポイント

 

ストレスチェックが義務化されていない従業員50人未満の事業所において、従業員のメンタルヘルス対策として取り組むべきポイントは以下のとおりです。

●従業員に方針を表明・周知する

メンタルヘルス対策に取り組むうえでは、まず従業員にメンタルヘルス対策の必要性や自社の方針を周知することが重要です。「働きがいのある、メンタル不調を起こさない職場環境づくり」に取り組むことをトップが宣言し、企業風土・理念として浸透させるのが望ましいでしょう。

●メンタルヘルス対策を計画的かつ継続的に促進

メンタルヘルス対策について一人ひとりが関心を持てるようにするには、従業員の意見を取り入れた具体的な中長期施策を計画し、継続的に取り組むことがポイントです。また、メンタルヘルス対策の推進にあたっては、現状を正確に把握することや、対策の効果評価を定期的におこなうことも大切です。

 

 

厚生労働省は従業員が50人未満の事業所であっても、メンタルヘルスの不調を未然に防ぐために、できるだけストレスチェックを実施することが望ましいという見解を示しています。また、現在は数人のみが働く事業所でも、自社のリスク対策としてストレスチェックを実施するケースが増えています。

 

従業員が少ない事業所でメンタルヘルス不調者が発生した場合、組織への影響は極めて大きくなります。少人数だからこそ、従業員の健康を意識した健康経営を進めていくことが重要です。従業員のメンタルヘルス不調を未然に防ぐことは健康経営の促進につながり、業務効率化や従業員のモチベーションアップ、生産性の向上にも大きく寄与するでしょう。

 

■まとめ

ストレスチェックは、従業員50人以上の事業所に義務化された制度です。しかし、努力義務となっている50人未満の事業所も、なぜストレスチェックが社会的に必要となっているのかを理解し、自社の従業員のメンタルヘルス不調を未然に防ぐことが大切です。

 

ストレスチェックに関する外部の専門サービスでは以下のような施策をおこなえます。

 

・従業員のセルフケア意識の向上

・集団分析による同業種との比較や課題点の可視化

・ストレスチェックの結果を活用した職場環境改善

 

自社の健康経営やリスクマネジメントの実現に、まずはストレスチェック制度を導入してみてはいかがでしょうか。

 

※健康経営®は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。

 

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ハラスメント対策トータルパッケージサービス_資料DL

令和2年6月1日に「改正 労働施策総合推進法」が施行されました。中小企業に対する職場のパワーハラスメント防止措置は、令和4年4月1日から義務化されます。

 

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